こんにちは、薬局薬剤師のふぁるくま(@farukumayaku)です。
このブログでは薬剤師の勉強に関する情報を発信しています。
今回は「生涯学習達成度確認試験」について自身の経験をもとにまとめました。過去問ってあるの?という疑問に答えていきます。試験合格を目指す方の参考になれば嬉しいです。
生涯学習達成度確認試験の合格を目指し、勉強を始めようと思ったが何をすればよいか分からない。そのような方がご覧いただいていると思います。出題範囲、過去問の有無、そして受験した感想と試験対策をご紹介したいと思います。
日本薬剤師研修センターの生涯学習達成度確認試験のページを見たけど試験の出題範囲に関する情報は見当たらなかったのだけど・・・
そうなんだよ。私も試験に関する情報をなかなか見つけられず苦労したんだ。ただ「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」って言われるし、出題範囲と傾向を知っておくことは大事だね。
「そもそも生涯学習達成度確認試験って何」という方は、以下の記事をご覧ください。
※10分で読めますので、最後までご覧ください。
1.試験の概要
1-1.日本医療薬学会の認定薬剤師試験に準拠する
結論から言うと、出題範囲は「日本医療薬学会の認定薬剤師試験に準ずる内容」です。具体的には日本薬剤師会が運営しているJPALS(ジェイパルス)のホームページに記載されています。
JPALS(ジェイパルス)はインターネット上で利用できる生涯学習支援システムです。学習の記録である実践記録(ポートフォリオ)の蓄積と、段階制の仕組みであるクリニカルラダー(以下CL)の活用を以て、薬剤師の資質向上に寄与し、国民の保健・医療・福祉に貢献することを目的としています。また、CLレベル5以上になると「JPALS認定薬剤師」として認定されます。
日本薬剤師会生涯学習支援システムのJPALSの概要(https://www.jpals.jp/about/gaiyou.html)より引用
JPALSは学習の達成度評価する、言わば一つの認定制度と捉えていただければと思います。
JPALS?!なんで突然そんな話が出てくるんだ。
私が知りたいのは「生涯学習達成度確認試験」のことだ。
このJPALSでは達成度をCL(クリニカルラダー)とし、CL1~CL6まで設定されているんだ。
そして、CL5からCL6へ昇格するための要件が「生涯学習達成度確認試験の合格」なんだ。
日本薬剤師会生涯学習支援システムであるJPALSのホームページには「薬剤師生涯学習達成度確認試験について」と題して、以下の4点が記載されています(リンク先)。つまり、日本医療薬学会の認定薬剤師試験を調べることが、生涯学習達成度確認試験の過去問や出題範囲の情報を得ることにつながります。
- 試験日:試験は年1回、7月の最終の日曜日に実施予定。
- 試験内容:日本医療薬学会の認定薬剤師試験に準ずる内容。
- 実施方法:Webテストではなく筆記試験(マークシート)。
- 試験概要:受験料、試験会場などの詳細は、日本薬剤師研修センターホームページで公開。
1-2.この認定薬剤師試験の情報はどこで調べる?
日本医療薬学会の認定薬剤師試験の概要は、日本医療薬学会のホームページに記載されています(リンク先)。リンク先には以下の3点が掲載されています。
- 出題ガイドライン(試験範囲)
- 出題範囲と例題
- 参考図書
2.出題範囲と過去問
2-1.出題範囲は?
前述の通り、日本医療薬学会のホームページに記載されています(リンク先)。出題範囲はリンク先の『日本医療薬学会専門薬剤師認定試験試験範囲(出題ガイドライン)』をご覧ください。ご覧いただくと分かると思いますが、「Ⅰ医療と生命倫理」から「XⅣ 医療系薬学研究」まで幅広い分野から出題されます。生命倫理など日常的に触れる機会が少ない分野を復習しておくと良いかもしれません。
2-2.出題形式は?
出題範囲はリンク先の『認定試験問題 出題範囲と例題』をご覧ください。例題が記載されているので、過去問として解くことをおすすめします。
過去問は無いということ?
うん。調べる限り見つからなかった。この例題を参考にすると良いと思うよ。
2-3.どのような問題が出る?
例題に記載の通り、5つの選択肢から正しい記述を1つ(または2つ)選ぶ、文章の合致する語句を選ぶ、複数の要素の組み合わせを選ぶ、英文など様々です。参考に1問を記載しますので参考にしてください。
【例題】次のインフォームドコンセントに関する記述について,正しいものを2つ選べ。
- 薬剤師は,医療の担い手として医療法により明記され,インフォームドコンセントの責任の一端を担っている.
- 医師が患者の病を救うために献身的につとめることを求めた「ヒポクラテスの誓い」には,インフォームドコンセントの精神が述べられている.
- 医薬分業は,薬物療法のインフォームドコンセントの一つの形として考えられている.
- GCP における被験者の治験参加への意思の確認では,口頭または文書により同意を取得する.
- インフォームドコンセントでは,本人の意思が重要であり,他の専門医によるセカンドオピニオンは必要ない.
3.受験してみた感想
各種疾患の病態生理、疫学、臨床症状、合併症、診断基準、検査、標準治療、生活上の注意点など網羅的に出題された印象で、「これが出題されます」と指針や目安を示すことが難しい程でした。各種ガイドラインを理解しているかどうかが問われ、臨床能力を試される内容でした。
私が受験した開催回だけかもしれませんが、がん領域に関する問題が多い印象を持ちました。レジメンおよび抗がん剤に関する知識だけでなく、PSやCTCAEなど治療方針を決定するために必要な知識まで問われました。
4.試験対策
個人的におすすめする試験対策は以下の3点です。
- 日々勉強する
- 各種ガイドラインを学ぶ
- 日本医療薬学会の参考図書を読む
4-1.試験対策(1)日々勉強する
前述の通り、出題範囲は明記されていますが非常に広範囲です。一方で日常業務に関する知識(疾病と病態や薬物療法)から数多く出題されます。つまり日々学習し、臨床上の疑問点を一つひとつ解消して知識を蓄積していく習慣が、最も有効な試験対策だと思います。
その結論、当たり前だし抽象的過ぎないか?
そう感じるのも仕方ないと思う。ただ、そう結論付けざるを得ない程出題範囲が広く、一朝一夕では対応できない試験と捉えてほしい。
4-2.試験対策(2)各種ガイドラインで学習する
各種疾患の病態生理、疫学、臨床症状、合併症、診断基準、検査、標準治療、生活上の注意点など網羅的に出題されるため、ガイドラインの記述と一致する印象を持ちました。臨床上の疑問を解消する手段としてガイドラインを使用されると思います。それが試験対策につながると感じます。
4-3.試験対策(3)日本医療薬学会の参考図書を読む
日本医療薬学会のホームページに参考図書が記載されています(リンク先)。参考図書はリンク先の『専門薬剤師認定試験 参考図書』をご覧ください。ただ、記載されている書籍数が多い点、書籍の発行年月を鑑みると標準治療がアップデートされている可能性がある点から積極的にはおすすめしません(もちろん購入を否定するものではございません)。
結局、私は参考図書を一つも購入しませんでした(それが良い選択だったかどうかは分かりません)。
まとめ
試験対策が「毎日勉強する」という抽象的な結論にがっかりされたでしょうか。受験して感じたのは「この試験に向けて学習した箇所から出題された訳ではない」という点です。生命倫理など一部の領域は試験前の学習が活かせと思いますが、他の領域はこの試験を受ける前に学んだ知識で解いた印象です。
おそらく、日々勉強している人にとって試験勉強は負担にならないのではないでしょうか。ぜひ日々学習していることの証明として生涯学習達成度確認試験の合格を目指していただければと思います。
生涯学習達成度確認試験の対策に本記事が参考になれば嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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