03_内分泌栄養代謝23_コーチング医療薬学

行動変容ステージモデルと糖尿病

こんにちは、薬局薬剤師のふぁるくま(@farukumayaku)です。

このブログでは薬剤師の勉強に関する情報を発信しています。

ふぁるくま
ふぁるくま

今回は「行動変容ステージモデル」について調べました。

本記事は、以下のような方を対象に作成しました。

  • 糖尿病について勉強している方
  • 療養行動について勉強している方

はじめに

こくま
こくま

2型糖尿病の患者さんから「先生から運動を頑張りましょう、って言われたけど仕事が忙しくてね。」と言われたんだ。

ふぁるくま
ふぁるくま

そうなんだ。それでどのように返答したの?

こくま
こくま

「そうなんですね。有酸素運動だと週に150分程度実施するのが目安で・・・」と糖尿病治療ガイドに従って運動療法に関する説明をしたんだけど、、、患者さんは上の空という感じだった。

ふぁるくま
ふぁるくま

もしかして行動変容ステージで考えると「無関心期」なんじゃないかな。

こくま
こくま

行動変容ステージモデル?

ふぁるくま
ふぁるくま

糖尿病の治療、セルフマネジメントを支援するためにこの概念は大切と言われているんだ。今日は行動変容ステージモデルについて考えてみよう。

行動変容ステージモデルとは

行動変容ステージモデルとは、人が行動変容する時には無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期の5つのステージを通るという概念です。行動変容を進めるためには、その方が現在どのステージにいるかを把握し、各ステージに応じたアプローチが必要と言われています。

厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」によると、動機づけ支援・積極的支援を実施する場合、保健指導対象者の生活習慣及び行動変容ステージ(準備状態)を把握し、どのような生活習慣の改善が必要なのかをアセスメントする必要がある、とされています。1)

つまり、患者さんの発言および質問への回答や行動状態を評価し、今どのステージなのかを把握することが重要です。

準備段階別のセリフ

次のような方がいた場合、どのように対応するべきでしょうか。

53歳男性。175cm、85kg、BMI 27.76、HbA1c 7.6%。

製菓会社の営業担当。営業先への移動方法は車が多く、食事は外食が多い(夜は接待の場合もある)。営業用の車内およびオフィスの休憩室に試作品の菓子がおいてあり、毎日1つは食べている。飲酒は毎日ビール350mL缶程度。3年前に2型糖尿病と診断され、現在も通院加療中である。医師より食事・運動について説明を受けているが実行には至っていない。

この方をモデルとして、「間食はどうされていますか?」という質問に対する回答をステージごとにまとめます。

無関心期
今は忙しくて余裕がない。なかなか生活習慣を変えるのは難しいよね。

関心期
食べ過ぎは良くないと分かっているんだけどね。

準備期
間食しないように意識しているけど、職場の休憩室にあるとついて手が伸びてね。

行動期
間食はやめました。気になるけど食べないようにしています。

維持期
間食はしていないですね。ストレスなくできています。

準備段階別のアプローチ

続いて準備段階別のアプローチをまとめます。

無関心期

その名の通り、行動変容に対して無関心な時期です。本人に関心が無ければどのような提案も実行に至らない可能性が高いです。この時期には具体的な行動を提示するよりは、その必要性を理解してもらえるようなアプローチが有効と言われています

例えば「今の状況を続けることについて何か不安はありませんか?」のような問いかけが良いのではないでしょうか。ただし、患者の考えや気持ちを聞きとらずに情報提供しても納得は得られませんので、変えたくない気持ち・変えられないことに理解を示した上で伝える必要があります。

関心期

行動変容に関心がありますが、行動には至っていない時期です。実践を妨げる理由があるため、聴・共感しながら障壁となっている要因を一緒に解決していくことが有効です

例えば「検査値は気になる一方で、つい間食してしまうことに困っているのですね。」や「間食をやめる方法だけでなく、減らす方法や別の物(お菓子以外)に替える方法がありますが、どれができそうでしょうか。」のような問いかけが良いのではないでしょうか。

準備期

行動を実行したいと思っている時期です。行動力はありますが、継続への自信が不足している状況のため、行動変容していることや一部の変容でも肯定的な評価を伝えることが有効です

例えば「意識はしているけど、つい食べてしまうのですね。」や「間食しなかった日は、どのような状況だったのでしょうか。」のような問いかけが良いのではないでしょうか。

行動期

明確な行動変容が実行されていますが、継続に自信のない時期です。実践して間もないため、実践に至ったきっかけやそのプロセスに関心を寄せ、習慣化するように促すことが有効です

例えば「間食しないようにされたきっかけは何でしたか。」のような問いかけが良いのではないでしょうか。その他にも、行動したことに対する賞賛や激励も継続への意欲や自信を高めますので有効です。

維持期

明確な行動変容が実行され、継続に自信がある時期です。この時期にはこれまでの努力を賞賛し、継続を奨励することが有効です

例えば「大きな変化ですね。」や「間食されない生活はいかがですか。」のような問いかけが良いのではないでしょうか。

まとめ

今回は以下の書籍を参考にまとめました。

糖尿病に関する書籍を何冊も読みましたが、行動変容ステージ別のアプローチをここまで具体的に記載された書籍は初めてです。読むことで療養指導に関する理解が進んだように感じます。本記事が日常業務の参考になれば嬉しく思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献

1)厚生労働省健康局, 標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】. 2018.
2)三澤ら, かゆいところに手が届く!まるわかり糖尿病塾. 医学書院 2021.

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