こんにちは、薬局薬剤師のふぁるくま(@farukumayaku)です。
このブログでは薬剤師の勉強に関する情報を発信しています。
今回は「生涯学習達成度確認試験」について自身の経験をもとにまとめました。どのような位置づけなの?という疑問に答えていきます。
生涯学習達成度確認試験をご存知でしょうか。その名の通り、生涯学習を継続的に行っている薬剤師を評価(達成度を確認)する試験です。
この試験は、生涯学習を一定の期間に互って継続的に行っている薬剤師を対象(希望する者)として、筆記(マークシート)によって行います。
生涯学習は、自己評価をしながら、さらに必要な学習に取り組むものですが、薬剤師の業務が多様化、高度化する中で、外部評価を受けてみたいと考える方もいます。薬剤師生涯学習達成度確認試験は、生涯学習に取り組んでいる薬剤師で、自己の生涯学習の状況について客観的な評価を受けてみたいと考える方に受けていただきたいと考えています。
公益財団法人日本薬剤師研修センターの薬剤師生涯学習達成度確認試験について(https://www.jpec.or.jp/kenshu/test/index.html)より引用
普段からそこそこ勉強してるし、受ける必要はあるの?
同僚の中では一番勉強しているんじゃないかなー。
ぜひ受験をおすすめするよ。
まず、普段から勉強してるのはいいことだね。でも同僚と比較して、勉強していて、知識量も多いことを証明できるかな?試験は知識があることを定性的に示す一つの手法なので合格することで「普段から勉強してますよ」と堂々と言えるんじゃないかな。
この生涯学習達成度確認試験は研修認定薬剤師制度を運営しているのは日本薬剤師研修センターです。研修認定薬剤師制度が勉強過程を評価するものに対し、本試験は学習の”達成度”を客観的に評価するものです。
日本薬剤師研修センターが単独で運営しているものではなく日本医療薬学会、日本病院薬剤師会、日本薬学会、日本薬剤師会、を含めた薬学関係5団体が共同で実施している試験です。つまり、各団体を横断的に一定程度の達成度を評価するものと考えられます。
平成24年12月より、薬剤師の生涯教育に関する新たな評価の仕組みについて、一般社団法人日本医療薬学会、一般社団法人日本病院薬剤師会、公益社団法人日本薬学会、公益社団法人日本薬剤師会及び公益財団日本薬剤師研修センターの代表者が検討してきました。今後、その結果がまとまり、この試験を行うこととなったものです。
公益財団法人日本薬剤師研修センターの薬剤師生涯学習達成度確認試験について(https://www.jpec.or.jp/kenshu/test/index.html)より引用
自身の学習の成果を証明したい方におすすめの資格です。今回はこの試験の位置づけと受験方法についてまとめました。
※5分で読めますので、最後までご覧ください。
地域薬学ケア専門薬剤師(医療薬学会)の要件の1つ
地域薬学ケア専門薬剤師とは?
地域薬学ケア専門薬剤師は、2020年1月に日本医療薬学会が発足した制度です。薬局薬剤師向けの認定資格です。さらに副領域の地域薬学ケア専門薬剤師(がん)は専門医療機関連携薬局の基準要件に該当するため、付加価値の高い資格だと思います。
本学会の地域薬学ケア専門薬剤師認定制度は、地域医療に必要となる広範な薬物療法に一定水準以上の実力を有し、現に地域医療・介護等の現場において活躍している薬局薬剤師を「地域薬学ケア専門薬剤師」として認定する目的で、2020年1月に発足しました。さらに、副領域として「がん」の専門性を有する「地域薬学ケア専門薬剤師(がん)」も認定します。併せて、地域薬学ケア専門薬剤師の養成に必要な研修を実施するための「地域薬学ケア専門薬剤師研修施設(基幹施設と連携施設)」ならびに指導者資格である「地域薬学ケア指導薬剤師」を認定しています。
一般社団法人日本医療薬学会の地域薬学ケア専門薬剤師制度 制度概要(https://www.jsphcs.jp/nintei/4-1.html)より引用
専門薬剤師認定試験の合格を免除できる
生涯学習達成度確認試験は医療薬学会が認定している地域薬学ケア専門薬剤師の要件の一つとなっています。厳密に言うと、この認定資格試験の代替となる位置づけです。これは地域薬学ケア専門薬剤師(がん)も同様です。
要件(11)の専門薬剤師認定試験の合格は、生涯学習達成度確認試験の合格証書のコピーの提出をもって免除することができる。
一般社団法人日本医療薬学会の地域薬学ケア専門薬剤師制度 制度規程(https://www.jsphcs.jp/nintei/4-2.html)より引用
難易度は(合格率)?
この試験の合格率はどの程度かご存知でしょうか。2022年2月時点で第1回~第5回の試験が行われていますので、受験者数と合格者数を整理しました。
開催回 | 実受験者数(欠席者を除く) | 合格者数 | 合格率 |
第1回 | 1,026人 | 415人 | 40.4% |
第2回 | 191人 | 69人 | 36.1% |
第3回 | 117人 | 42人 | 35.9% |
第4回 | 93人 | 33人 | 35.5% |
第5期 | 226人 | 126人 | 55.8% |
合格率は35.5~55.8%でした。ただ、「薬剤師経験5年以上」が要件(後述)であり、この生涯学習達成度確認試験を受けようとしている意欲が高い薬剤師の中での合格率であることを忘れてはいけません。難易度が高い試験ではありますが、それだけ合格した時の意味も大きいと思います。
この試験って更新するものなの?
いや、更新という概念はないよ。
その時の知識量を示す、言わば瞬間風速のようなものだよ。
それでもこの合格率を見ると、勉強していることの証明として有用なんじゃないかな。
【step1】応募要件を確認する
では、受験までの流れを確認しましょう。まず応募要件ですが、以下の通りです。
- 薬剤師免許取得後5年以上であること
- 所属する団体ごとに別に定める要件
この「2.所属する団体ごとに別に定める要件」は以下の通りです。薬局薬剤師ですと研修認定薬剤師を取得するケースが多いと思うので「研修認定薬剤師の更新を1回以上」を受験の目安と考えれば良いと思います。もちろん、この要件を満たさずとも受験可能ですので(他団体の定める要件で受験)、実質「1.薬剤師免許取得後5年以上であること」を要件とお考え下さい。
所属する団体 | 所属する団体ごとに定める要件 | |
1 | 日本医療薬学会 | 会員である者 |
2 | 日本病院薬剤師会 | 会員である者 |
3 | 日本薬学会 | 会員である者 |
4 | 日本薬剤師会 | JPALS(日本薬剤師会生涯学習支援システム)クリニカルラダーレベル5であり、 かつレベル5に昇格後1年を経過した者 |
5 | 日本薬剤師研修センター | 研修認定薬剤師の更新を1回以上行っている者(更新1回とは、新規に認定を受け、 その3年後に更新の認定を受けたことをいう。) |
6 | 上記5団体以外 | 継続的に生涯学習に取り組んでいる者 |
【step2】申し込む
日本薬剤師研修センターのホームページのお知らせに試験のお知らせが掲載されます(リンク先)。申し込み時期は年によって多少のずれはありますが、3~4月頃です。受験される方は情報を確認するようにしましょう。第5回薬剤師生涯学習達成度確認試験の受験申込は以下の通りでした。具体的な申込方法は試験のお知らせに記載されていますので、ホームページをご参照ください。
- 受験申込期間:2021年4月5日~4月16日
- 方法:ウェブ画面で申し込み(日本薬剤師研修センターの薬剤師研修支援システム)
申し込むと、記載した連絡先に6月頃に受験票が送付されます。また、試験の概要は以下の通りです(参考に第5回薬剤師生涯学習達成度確認試験の情報を記載します)。午前と午後で合計4時間のテストなので、かなりボリュームがある試験です。
- 試験日:2022年 7月4日(日)
- 試験会場:全国各地(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡から選択)
- 試験時間:午前120分、午後120分
まとめ
いかがだったでしょうか。「存在を初めて知りました」という方もいらっしゃるかもしれません。ぜひ、腕試しと思って挑戦されてはいかがでしょうか。
この試験は、薬剤師の知識量を定性的に評価する一つの基準だと思います。私は「認定資格を取得しても患者さんに貢献できなければ意味が無い」と思い、認定資格の取得に後ろ向きでした。ただ、資格を持たないと患者さんに貢献できる実力があることを証明できないと考えを改めました。「卵が先か、ニワトリが先か」のような議論になりそうですが、この試験も受ける価値はあると思います。
試験のことは分かったけど、肝心の出題範囲とか過去問の話が無いじゃないか!
仰る通り。
情報過多になると思い、この試験の位置づけや申し込み方法に限定しました。
出題範囲や勉強方法は改めてまとめるのでお待ちください。
本試験の準備に本記事が参考になれば嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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