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【後輩指導】初めて新人薬剤師の教育係を任命された。覚えておきたい3つの心構え。

こんにちは、薬局薬剤師のふぁるくま(@farukumayaku)です。

このブログでは薬剤師の勉強に関する情報を発信しています。

初めて新人薬剤師の教育係を任命されたのですが、何をすればよいかわかりません・・・

本記事では【後輩指導】をテーマに、後輩指導のノウハウをご紹介します。

わたしは管理薬剤師として数多くの新入社員とその教育係(指導役)を見てきました。初めて教育係を担当する場合、「どうやって指導すればいいの?」と悩まれる方が多いように感じます。また、「うまく指導できているな」と感じる方も、「これでいいのかな」と不安になりながら指導されている印象です。

まず、本記事では「初めて新人薬剤師の教育係を任命された。覚えておきたい3つの心構え。」と題して“教育係としての心構え”をご紹介いたします

以下のような方を対象に作成しております。

  • 初めて新人薬剤師の教育係を任命された。
  • 後輩指導の経験が少ないため、指導の仕方を知りたい。

※10分で読めますので、最後までご覧ください。

覚えておきたい3つの心構え

1.コミュニケーションの環境を整えること。

1つ目はコミュニケーションの土台を整えることです。例えば次のような教育係はいかがでしょうか。皆さんが新入社員だったころを思い返して、「どのような気持ちになるか」を想像してみてください

新入社員
新入社員

(一包化の調剤機器の使い方を念のため確認したいな)あの、分包機の使い方で確認したいことがあるのですがよろしいでしょうか。

教育係
教育係

使い方?前にも言ったよね。

質問しても「前にも言ったよね」とまともに取り合われない。おそらく普段から話を聞いてくれない方なのでしょう。このような方に対して、「相談したい」とか「力になりたい」という感情を持つでしょうか。先輩だとしても上司だとしても、信頼していなければ人は積極的に行動しないものです

つまり、コミュニケーションの環境を整えることが、すべての始まりだと捉えてください。

日頃から話を聞いてくれず、意見も受け止めてくれない。自分の仕事ぶりやアイデアをほめるどころか、関心も示してくれない。

そんな上司に対して、人は「協力したい」とか「力になりたい」と思うでしょうか。上司とはいえ、信頼を寄せていない相手から「この作業をより効率的に進めるためにはどうしたらいい?」と質問されても、積極的に考える気になれないのは人情です

石川 和夫,すぐ分かるコーチングハンドブック,商業界

では具体的に、どのようにすれば信頼を得ることができるでしょうか。それは日頃のコミュニケーションです。話を聞くこと、ほめること、認めること、そのような基本的なやり取りが重要です。

つまり、相手の話をしっかり聞き否定せずに受け止めること、仕事ぶりや成長を認めたり感謝したりすることを常日頃から行う必要があります。 デール・カーネギー著の「人を動かす」が参考になると思いますので、本書の「人に好かれる6原則」をご紹介します(デール・カーネギー,人を動かす,創元社)。

  1. 誠実な関心を寄せる
  2. 笑顔を忘れない
  3. 名前を覚える
  4. 聞き手にまわる
  5. 関心のありかを見抜く
  6. 心からほめる

いきなりすべてを実践することが難しい方は1つでも構いませんので、まずは実践してみてください。対人関係力もスキルですので、トレーニングすれば身に着けることができます。もちろん得手不得手はあると思いますが、実践しなければ身に着かないものだとお考えいただければと思います。

2.やらせてみること。

当たり前ですが、成長するためには「成功体験」が重要です。学んだことを実践し、「うまくできた」と感じる瞬間です。

ここで、有名な山本五十六(やまもと いそろく)の教育に関する名言をご紹介します。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

山本五十六は日本の海軍軍人です。軍人として部下を指導し、組織を統率してきた経験から多くの名言を残されています。上記の名言には後輩指導のエッセンスが詰まっているのではないでしょうか。

また、この「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」の言葉は、第一次世界大戦中に、アメリカで軍隊を育成するために生まれた「4段階職業指導法」に通ずるところかがあります。「4段階職業指導法」は以下の通りです。

  1. やってみせる(Show)
  2. 説明する(Tell)
  3. やらせてみる(Do)
  4. 確認・追加指導(Check)

つまり、手本を見せたり、説明したりするだけでなく、相手に実践させる必要があります。皆さん自身も「教えてもらったはずだが、実践すると思い通りにいかない」という経験はあるのではないでしょうか。

理解することと、できることは違います。「説明だけでも理解できる」と思われるかもしれませんが、理解度を高めるためにも実践するというアウトプットの工程は重要です。

一方で、「これはまだ早いかな」と悩むケースがあると思います。具体的には「この処方内容は複雑だから鑑査は私がやった方が良い」、「この疑義照会は、医師に説明するためには患者さんの生活背景から伝える必要があり、うまく伝えられないかもしれない」などです。

そのような場合、させてみることをおすすめします。させてみて、成功体験を積むことで更なる成長につながります。もちろん、個人の習熟度は違いますし、あまりにもレベルが高いものをやらせてミスした場合は自信喪失する可能性があるので、チャレンジすれば達成できる難易度のものを設定しましょう。

3.期待をかけること。

3つ目は「期待をかけること」です。

教育心理学の用語でピグマリオン効果(別名:教師期待効果)をご存知でしょうか。

ピグマリオン効果(ピグマリオンこうか、英: pygmalion effect)とは、教育心理学における心理的行動の1つで、教師の期待によって学習者の成績が向上することである。

ウィキペディア(Wikipedia)より引用

端的に言うと、「期待をかけると、期待に応えようとする」ということです。「本当に効果があるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。反対に期待されない場合にどのような言葉をかけられ、どのような気持ちになるかを想像してみてください。

  • この時期に服薬指導ができないのは一大事だよ
  • 君は本当に仕事ができないな
  • よく薬剤師になったよね

あまり良い気持ちにはならないと思います。後ろ向きで、否定的な言葉よりは、前向きなポジティブな言い方が嬉しいですよね。例えば次のように言い換えると、どのような気持ちになるでしょうか。

  • △△までに服薬指導ができるように一緒に頑張ろう
  • これができるようになったら一人前だね
  • 〇〇ができたら、薬剤師として一つ上のステージに行けるよ

こちらの方が「やってみようかな」と感じますよね。ポジティブな言葉をかけ、前向きに成長したいと思えるような関係性を作っていきましょう!

ピグマリオン効果には注意点があります。高すぎる要求や、過剰な期待(ほめる)は避けるようにしましょう。高すぎる目標は意欲が湧きませんし、過剰に期待されるとプレッシャーに感じるかもしれません。相手に合わせて調整する、ということを忘れないでください。

まとめ

いかがでしょうか。まずは「教育係の心構え」をお伝えしました。今後は以下のようなテーマで記事を作成する予定です。

  • 配属前にやるべきことは?
  • 指導の仕方(手段)は?
  • 新人薬剤師のタイプ別の指導方法。
  • コーチングとティーチングの違い。
  • コーチングの3要素。

初めての新人の受け入れは緊張しますし、不安が多いと思います。私もそうでした。後々気づいたことは知識・経験が足りなかっただけということ。正しい知識と技術を身に着ければ自信をもって新人薬剤師に接することができます。

ぜひ正しい知識を身に着け、日々の業務にお役立ていただけますと幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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