こんにちは、薬局薬剤師のふぁるくま(@farukumayaku)です。
このブログでは薬剤師の勉強に関する情報を発信しています。
今回は「リーダーの仮面」を紹介します。副題に、「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法、と記載されている通り管理職向けであり、「良いリーダー」になるための思考法を学ぶことができます。
本記事は、以下のような方を対象に作成しました。
- 管理職(マネージャー)の方(特に中間管理職)
- リーダーとしての立ち居振る舞いや思考を学びたい方
はじめに
「識学」をご存知でしょうか。
組織運営理論の一つであり、近年注目されています。識学を活用した経営、組織コンサルティング、従業員向け研修等を事業としている株式会社識学の代表取締役社長が執筆されたのがリーダーの仮面です。
Web広告等でも目にすることがあり、注目されていることを感じます。
株式会社識学のホームページを拝見すると、「どうすればいかなる組織でも生産性向上を実現できるのかを追求しています。」と記載されており、リーダーとして身に着けたいマネジメント手法と感じます。
識学は「意識構造学」からとった造語であり、20年以上前に提唱された組織運営理論です。識学はこの原理論を体系化し、弊社の基幹理論として整備したものです。 識学は、なぜ生産性向上を実現できる組織と、そうでない組織があるのか、どうすればいかなる組織でも生産性向上を実現できるのかを追求しています。
株式会社識学のホームページより引用
今回は、「リーダーの仮面」の内容まとめます。
1.リーダーが目指すべき方向性
リーダーの仮面は、マインドセットからスタートします。これまでの常識(考え方のクセ)が邪魔になり、あなたの行動を制約してしまうので、その常識を取り除き(考えをアップデート)、行動を変える必要がある、とされています。
具体的な方法を説明する前に、「ある準備」をしましょう。いわゆるマインドセットです。
本書の内容を理解するためには、これまでの「常識」が邪魔になってきます。常識は考え方のクセとなり、あなたの行動を制約します。その間違った常識を、序章で完全に取り除きましょう。
本書、序章より引用
1-1.プレーヤーからマネジャーへ
「プレイヤーとして優秀だった人であればあるほど、リーダーとして失敗するリスクを抱えている」と記載されています。具体的には、以下の2つのパターンです。
- 手取り足取り指導する人
- 部下についてこさせようとする人
1.手取り足取り指導する人は、細かく指導しなければと思い「もっとこうすれば?」「じゃあこうしてみようか?」のように指導します。優しくていいリーダーに見えますが、思考停止し、成長しません。
2.部下についてこさせようとする人は、できるリーダーに見えますが、実はリーダーとしての責任を放棄し、役割を果たしていません。
なんだか非人間的で冷たい感じに聞こえる。
一見するとそう感じるかもしれない。ただ、この書籍の中で記載されているのは「感情を横に置く」ということ。そして、リーダーの責任は、部下を成長させ、チームの成果と利益を最大化することなんだ。
見方を変えると、人にやさしくし、その人の成長の機会を奪い、知識・スキルが身につかず、他の仕事や会社で通用しなくなる方が非人間的ではないか、ということです。
1-2.仮面をかぶるとは?
部下を目にすると、たくさんのこと(仕事のこと・家族のこと・人生のこと)を考えてしまいます。特に、面倒見のいいリーダーは、つい寄り添い、「思いつき」でモノを言ってしまいます。しかし、思いつきの言動が部下の成長を止めてしまうことにもなりかねません。
リーダーがフォーカスするべきは5つのポイントだけです。
- ルール
- 位置
- 利益
- 結果
- 成長
この5つに絞ってマネジメントすることが大事であり、カリスマ性も、人間的な魅力も不要である、と著書の中に記述されています。人間関係や仕事上のトラブルに見舞われ、「リーダーとしてどうふるまえばいいか」迷う時には、この5つのポイントに立ち返る。
この5つのポイントだけを見て他のことを考えないようにすることを、「仮面をかぶる」と表現されています。
端的に言うと「役割という仮面」をかぶる、ということだと理解しています。
1-3.リーダーが目指すべき方向性
リーダーの仕事には大きなゴールがあります。それは、部下を成長させ、チームの成果を最大化させることですあり、それがリーダーとしての価値となります。
当然、なあなあの関係(仲良しクラブ)では、メンバーは成長しません。リーダーとメンバーの間に「いい緊張感」が生まれ、メンバー間が切磋琢磨し、成長と成果という好循環が生まれる組織が目指すべき姿です。
リーダーの仮面というツールを用い、ポイントを押さえた声がけやルール設定、評価によってメンバーが成長する。リーダーの言葉は遅れて効いてくるものであり(成長という結果)、優しい言葉をかけて、その場だけ「いい人だ」と思ってもらっても、その言葉は頭に残りませんし、後からも効いてきません。
言いたいことは分かる気もするけど、部下のモチベーションが上がらないじゃないかな。
実は著書の中では「モチベーションという病」と表現され、モチベーションという言葉が諸悪の根源である、とされているんだ。
部下たちの様子を見て、やる気を出させたり、頑張る理由を与えたり、「モチベーション」のことを考えてしまうとリーダーは失敗します。結果を出せない部下が「モチベーションが上がらないんですよね」という言い訳ができる状況作らないようにマネジメントする必要があります。
リーダの役割は、部下たちのモチベーションを上げることではなく成長させることである。これを肝に銘じてマネジメントする必要があります。
1-4.プレーヤーから頭を切り替える質問
リーダーになる準備として、5つの質問があります。葛藤があるかもしれませんが、マインドセットをアップデートするための質問と捉えましょう。
- 「いい人」になろうとしていないか?
- 「待つ」ことを我慢できるか?
- 部下と「競争」をしていないか?
- 「マネジメント」を優先しているか?
- 「辞めないかどうか」を気にしすぎていないか?
それぞれの意味は本記事を読み進めると理解いただけると思います。
2.フォーカスすべき5つの思考法
2-1.「ルール」の思考法
「ルール」と聞くと、直感的に不自由な印象を持つかもしれませんが実際には逆です。一定のルールがあるから人は自由になれます。道には道路交通法があるように、一定のルールがあるから安心してビジネスができます。
リーダーが最初にやるべきは「いいルール設定」です。無法地帯で部下やメンバーを混乱させないためにルールを設定し、明文化して、守らせるようにしましょう。
「ルールを守らせる」は当然ですが、個人的な感情を加えてしまい、例外を作るとチームや組織は非常に脆くなります。
- 目標達成しているから、遅刻してもいい
- 出世したから、あいさつしなくていい
- あいつは気に食わないから厳しく注意してもいい
- 中途で入ってきた人だから、前の職場のやり方でもいい
このような例外を作ると「あの人は許されるのに、なざ自分はダメなのか」と考える人が現れ、組織は脆くなります。リーダーは、個人的な感情ではなく、組織の人間として仮面をかぶり、ルールを守らせる必要があります。
自分も経験があり、「あの人は〇○だからね」と、例外を許容する上司の発言にストレスを感じたことがありました。その時は「そういうものかな」と思いましたが、今思い返すと、例外は作るべきではなかった、ということと理解しています。
「自由に」と言われたけど、あとから「それはダメ」と言われた経験はないでしょうか。自由とは言え、結局ルールは上司が決めるものなのだから、「はじめに言ってほしい」と考えるのが自然です。
リーダーの顔色をうかがい、空気を読みながら行動する。曖昧なルールの環境下ではそのような空気の読み合いが発生し、部下のストレスになります。ルールが言語化され、シェア(メールや共有ファイル)されることで安心して行動できるようになります。
「姿勢のルール」として、あいさつする、会議には遅れずに参加する、日報を17時までに提出するなど、やろうと思えば誰でも守ることができるルールがあります。できる・できないが存在しないので、守らない人間は「意図的に守っていない」ことになります。
姿勢のルールを徹底して守らせることが、組織のリーダーとして一丁目一番地であり、これができない人にはリーダーの資格はありません。
チームが成長するかどうか。それはリーダーが感情的に寄り添うことをやめられるかどうかが鍵を握っているのです。
「言わなくてもわかってもらえるだろう」「察してくれるだろう」。そういったマネジメントは、もうやめにしましょう。
「姿勢のルール」すら守らせられない人に、この先、大きな仕事は成し得ません。
本書、第1章より引用
でも、急に「あいさつをしましょう」なんて言うと、反発する人が現れそうだけど、どうなのかな?
その通り。でも、著書の中では「新しいことをすると、必ず反発がある」と記載されているんだ。だからこそ、「リーダーの仮面」が大事になり、嫌われるかどうかを横に置き、実行させることが大事だと記載されているんだ。
確かに。。。そういった心理的なハードルを乗り越えて人間関係の悩みを生まないようにするのがリーダーの仮面なんだね!
2-2.「位置」の思考法
所属している組織は「ピラミッド構造」であることが多いですが、「ピラミッド」という言葉に嫌悪感を抱く人が多くいます。しかし、識学では「ピラミッド構造が最適であり、最速である」と考えます。
それは決定する人が明確で、責任の所在がはっきりしているからです。
これは良く経験する!
同じ立場の人が集まると、意見は言うけど決まらない。最後に「自分の責任でこうすることに決定する」と明言する人がいないことが要因なんだと思う。
うまくいっていない会社の中間管理職の人たちを見ていると、「位置」を勘違いしている人が多くいます。部下の言うことをそのまま上に伝えて決めてもらうような「伝言ゲームだけをする人」です。そうではなく、あなたが決められるものはあなたが決める。
本書、第2章より引用
高い山に登れば遠くを見渡せるように、上に行けば行くほど見える範囲が広がります。組織も同様であり、組織の中のポジションによって見える景色は異なります。
高い位置にいる人は、未来を見据えて決断し、行動する責任を背負います。「今」に視点を置くのか、「未来」に視点を置くのかで、日々の行動が変わります。例えば、優しい上司は、今の部下にとっていい上司ですが、「未来」に視点を移すと、部下は成長できないためマイナスの存在となります。そのような未来から逆算して考えるのがリーダーの役割です。
典型的な位置を間違えた良い方として、
- 時間がある時で構わないので、資料をまとめておいてくれない?
- やりたくなかったら断ってくれていいんだけど、この仕事できるかな?
のようなものがあります。平等と対等を混同していることが要因で、プレーヤー気分が抜けない若手リーダーが言いがちな言葉です。誤っている点は「決定権が部下にあること」と「責任の所在を曖昧にしていること」です。
指示は「言い切る」ようにする。仕事は、それぞれの立場にいる人に、役割と責任に応じて上から下へ仕事が下りてくるだけ、ということを理解しましょう。
また、孤独を感じる、もリーダーの条件です。ピラミッド組織では、立場が上に上がれば上がるほど孤独になります。そこ孤独を引き受けられず、仲良くすることを先行させると、緊張感のない組織になってしまいます。
世間には「言い訳を聞いてあげるのがいい上司だ」という風潮があります。ただ「あとで飲みに誘って指導しよう」のようなマネジメントは誤りで、業務中に指摘すべきことは、業務中に指摘するのが当然です。そのためにも一定の距離を置くことはリーダーとして必要です。
2-3.「利益」の思考法
「ついていきたいと思われたい」は完全に誤りで、人は「メリットを感じたとき」利益についていくものだ、ということを理解する必要があります。「良い人だけど、この人についていっても成長できなそうだ」と思われた場合に部下がついてくるでしょうか。
リーダーがすべきことは、部下たちを「組織の利益」に向かわせること(人間的な魅力ではなく、利益で動かす)。最優先は組織の利益であり、そこから個人の利益が発生します。
そもそも人間が集団を作る理由は何でしょうか。一人でできないことを集団で成し遂げることができますし、得られる成果が大きくなるからです。雇用を安全に守ってもらえることだけが組織のメリットではありません。集団で大きな利益を獲得し、獲得した利益を分配するのがあるべき姿ではないでしょうか。
2-4.「結果」の思考法
突然ですが、あなたがレストランに行ったとします。それだけこだわって作った料理で、調理過程を一生懸命に説明されたとしても、「美味しくない」と思ったら、二度とその店に行くことは無いでしょう。
つまり、重要なのは「プロセス」ではなく「結果」です。リーダーが正しく「結果」にフォーカスして評価することが大切です。
まず、「仕事ができる人」は「評価者が求める成果を出せる人」であり、社内の人気のあるメンバーではありません。リーダーは社内で人気のあるメンバーを評価したり、リーダーと距離が近くて仲のいい部下を用化したりし始めると、チームの結果はついてこなくなります。
「褒めれば伸びる」は子育ての論理です。仕事は本質的に異なり、給料やボーナスという「目に見える成果」を受け取っています。やる意味が曖昧なまま勉強する小学生と、生きるために働いている会社員とでは、管理方法がまったく異なります。
プロセス重視の弊害として、「残業アピール」があります。残業している部下に「よく頑張っているな」と褒めてしまうと、「残業した方がお得」という感情になり、「結果が出なくても遅くまで頑張っていると言えばよい」という思考になってしまいます。
心当たりがあります。上司の「あの人は、いつも遅いから頑張っている」という発言を聞き、違和感を覚えたのはこれですね。
更なる弊害として、進捗を確認した時の返事として「はい、順調です」という返答をもらうケースがあります。事実上、何も成果が生まれていない状態での会話であり、成果が出ないまま期限を迎えたとしたら、進捗を聞いたがために、「成果は出なかったが努力はしていた」と評価せざるを得ません。
また、褒められた時に「その少し下のところ」が「あたり前」の基準になることも弊害の一つです。当たり前の基準をできるだけ高く保つことが、リーダーの役割の一つです。
リーダーがやるべきは「点と点」の管理術です。最初に「目標設定」して、仕事を任せる。最後に「結果」を報告してもらい、評価する。これが点と点の管理術です。
目標設定する時にはできるだけ数値化した目標設定に工夫が必要です。仕事の要素を分解し、回数・時間・昨年比率など数値を見つけて目標に繋げるようにする必要があります。
結果では、「できなかったことを指摘する」です。目標をクリアしたら「達成」、届かなかったら「未達」と伝えます。そして、何ができないかを客観的な事実として認識させるのがリーダーの役割です。「やる気が足りなかった」と言われても分かりませんので、客観的な事実で伝える必要があります。
2-5.「成長」の思考法
リーダーはルールと目標を設定し、部下に仕事を任せ、結果を報告してもらい、結果を評価する。これらを実行すると、部下は「結果」と「評価」のギャップを認識し、次の目標を「変えるべき行動」と一緒に設定します。その「結果」と「評価」のギャップを埋めていくことが成長に繋がります。
結果と評価のギャップを正しく認識できない人は成長できません。客観的な事実に基づく他者評価が必要ですので、リーダーはフェアに接していることが必要です。また、ギャップを受け止めずに「言い訳」が可能な状態になると、そちらに逃げてしまいますので、そのような環境にしないようなコミュニケーションを実施することもリーダーの役割です。
リーダーの仮面によるマネジメントを実践すると、チーム内に「健全な競争」が起こります。健全な競争の下では、「成長していくまわりに置いて行かれるとマズイ」という「いい緊張感」が生まれ、勝手に成長せざるを得ない状況になります。
んー、何となく、団体スポーツのチームをイメージしたよ。みんなで「優勝」という目標を掲げ、お互いに切磋琢磨(健全な競争)し、監督は客観的にフェアに選手を評価する。好循環が生まれ、みんなで成長し、優勝という結果を得る。ということかな。
健全な競争下では、トッププレイヤーが誕生し、それにつられて周りも成長する。これが理想的な姿です。ここで重要なのは「先頭がリーダーではない」ということ。リーダーは上から全体を見渡し、指揮する役割ですので、マネジャーとしての仕事を優先するべきです。
ここで重要なのは成長の場を用意しておくこと。そして、成長を信じて待つことです。
成長させるためには「まず1回やらせてみる」こと。優秀なプレーヤーだったリーダーは、自分の経験から部下が失敗しないように指導してしまいますが、話として理解することと実際にやることでは大きな乖離があります。リーダーは早く目標を与えて、「1回やらせてみる」というコミュニケーションの取り方を身に着けるようにしましょう(説得も納得も腹落ちも不要)。
まとめ
いかがだったでしょうか。個人的に印象に残っているのは以下の点です。
- いかなる時も感情を横に置く。
- リーダーの目的は、部下を成長させ、組織の成果を最大化すること
- プロセス評価ではなく、結果で評価する
今までの自身のマネジメント方法と照らし合わせながら読みましたが、反省することばかりでした。マインドセットを変え、強い組織を作るためには実行していきたいと感じさせる良書でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント